この料理は四川料理24の味『荔枝味型』(唐辛子ピクルスや花椒などを組み合わせて作る爽やかな甘酢の味付け)ライチを思わせるような甘酸っぱい味付けになります。揚げたてサクサクのワンタンに熱々の餡をかけると、チリチリッとおこげ料理のような音が楽しく食欲をそそります。豚肉餡の揚げワンタンに豚肉の餡掛けも面白いですが、その他に鶏肉を使ったりナマコを餡掛けにした宴席料理もあります。
揚げたワンタンは、金色の鈴の様に見えることから「響鈴(シャンリン)」と呼ばれています。またの名を炸抄手(チャ―チャオショウ)。四川ではワンタンを抄手(チャオショウ)と呼びます。抄手の意味は両手を合わせる。また袖の中に両手を互いに入れる仕草などからきているようです。
ワンタンは地方によって呼び名も違います。北京や上海では餛飩(フォンタォン)、広東省や香港では雲吞(ユントン)、福建省は扁食(ビィエンシィ)など。また具材も様々で、上海あたりは日本でぺんぺん草(なずな)として知られる薺菜(チィツァイ) をたっぷり入れたワンタン、香港ではプリプリ海老のワンタン麺、福建省や台湾は肉燕皮(ロウヤンピー 粉をまぶした豚肉を叩いて薄く伸ばした皮で包んだもの)が有名です。具がたっぷりな広東省や香港のワンタンと比べ、四川省や福建省は具が少なめ。皮のツルンとした食感が楽しめます。
四川で人気のワンタン料理は『紅油抄手(ホンヨウチャオショウ)』。茹でたワンタンにラー油をたっぷり注ぎ甘めのソースをかけたものです。重慶には『麻(痺れ)』のレベルを「清湯・微微麻・微麻・中麻・老麻・特麻」の6種から選べるワンタン屋さんもあります。うっかり特麻を注文するとそれはもう大変で、口の中に電気が走るような状態がしばらく続きます。
中国は広いですね。ワンタン1つにしても地方で食べ方や好みが異なり、多様な食文化が感じられます。
伝統四川料理を今に伝える成都・松雲門派の正統な継承者であるシェフ井桁良樹が日本人が知らない本当の四川料理を提供します。この記事を見て飄香に興味を持った方は、以下のコンテンツでより詳しく私たちについてご覧いただけます。