春節(旧正月)から15日目はちょうど満月の日にあたり、中国では伝統的な節日のひとつ元宵節(ユエンシャオジエ)です。中国の家庭では提灯に火を灯し満月を眺め、一家団欒の夜を過ごしたり、街では春節を締めくくる灯篭祭などの伝統行事が行われます。
この日は「湯圓(タンユエン)」と呼ばれるお団子を食べる風習があります。「湯圓」の発音が一家団欒を意味する団円(トゥアンユエン)に似ていることや満月のように丸い形から、「一家団欒・家庭円満」など幸福を象徴する食べ物とされています。「事事円満!(全てのことが円満に)」と願いを込めていただきます。
湯圓の餡は小豆や胡麻、木の実など様々ですが、浙江省寧波市ではとろ~り流れでる黒胡麻餡の湯圓が有名です。すりおろした黒ゴマと砂糖、そして豚の板油(バンヨウ)と呼ばれる板状の腹脂を練って餡にします。茹でると熱で脂が解け、餡が流れ出るという仕組みです。四川では玫瑰(バラ科のハマナスの花の蕾を乾燥させたもの)餡をよく見かけます。玫瑰はバラ茶の茶材として使われており、美容によいとされるバラ茶は、女性に人気のお茶です。
今回ご紹介する湯圓の餡は胡桃、落花生、胡麻、ローストした大豆を粉にして黒砂糖と合わせものです。この餡を餅米と粳米の生地で包んで茹で、バラ茶に浮かべました。目にも楽しく華やかな香り。一家団欒、口福なひとときを過ごせそうですね。
伝統四川料理を今に伝える成都・松雲門派の正統な継承者であるシェフ井桁良樹が日本人が知らない本当の四川料理を提供します。この記事を見て飄香に興味を持った方は、以下のコンテンツでより詳しく私たちについてご覧いただけます。