春巻は「春餅(チュンピン)」という料理に由来されると言われています。「春餅」とは春の芽吹き野菜を小麦粉で作ったクレープ状の皮で巻いたもので、春節に食べられる料理の1つです。春節(今年は1月25日)は日本のお正月同様、家族や親戚が集まって縁起物の料理を食べ、健康と長寿を願う行事です。
「春餅」の歴史は2000年前の春秋戦国時代に遡り、五辛盤に由来すると言われています。五辛とはにんにく、にら、らっきょ、パクチー等五種の辛味やにおいの強い野菜のことで、これらを神に祀った後に食べる習慣があったようです。晋代の『風土記』にも元旦に五辛盤をつくるとの記載があります。辛いものを食すことで五蔵の気を通じ、邪を払って健康を保つと考えられいたようです。
広東省や日本では揚げ春巻が主流ですが、四川の春巻は「春餅」同様揚げずに巻いて食べるスタイルです。チシャトウ(立ちレタス)、人参、セロリ、パクチーなどの和えた野菜を皮で巻き、辛い麻辣(マーラー)ソースをつけて食べるのが一般的です。皮は小麦粉に塩を入れ柔らかく練ります。それを片手に持ち、専用のフライパンに押し付けながら焼いていきます。すると見事に薄い皮に仕上がります。
以前は成都の街中あちこちで薄皮を焼いている姿が見られましたが、残念なことに最近では殆ど見られなくなってきました。一方台湾にはお肉やザーサイ、パクチーやピーナッツ粉等を薄い生地に巻いた具沢山の「潤餅(ルンビン)」という食べ物がありますが、こちらは夜市などでよく目にします。
飄香では、芽吹き野菜(スプラウト等)、フォアグラ、唐辛子ジャムを自家製の薄皮で巻いた、ちょっぴり贅沢な春巻をコース料理の前菜として提供しています。2000年前の五辛盤をイメージしながら召し上がってみては如何でしょうか。
伝統四川料理を今に伝える成都・松雲門派の正統な継承者であるシェフ井桁良樹が日本人が知らない本当の四川料理を提供します。この記事を見て飄香に興味を持った方は、以下のコンテンツでより詳しく私たちについてご覧いただけます。