芙蓉鶏片(鶏のすり身 芙蓉仕立て)は、代表的な四川伝統の宴席料理です。宴席メニューの中にこの料理が入っているだけで、品格が生まれます。
この料理は別名「吃鶏不見鶏」とも呼ばれており、鶏肉を食べているのに鶏肉は見えないという不思議な料理です。ミキサーもない時代にこのような料理が生み出された背景に、お客様に喜んでもらうためには手間を惜しまない、昔の名料理人のおもてなしの心が垣間見えます。
伝統四川料理には、「芙蓉」という花の名が付けられた料理が多く存在します。これはかつて成都が、「芙蓉城」や「蓉城」と呼ばれていたことに由来します。芙蓉は、四川省を代表する花なのです。
934年、成都を都としていた後蜀の二代皇帝である孟昶(モウチョウ)の貴妃、花蕊婦人は、花や蕊(シベ)でも形容できないほどの美貌を持っていたと言われています。この花蕊婦人が芙蓉の花を好んだことから、皇帝の命により、成都城周辺にはたくさんの芙蓉を植え、花咲く頃にはピンク色に染まるようになりました。これが、成都城が芙蓉城と呼ばれるようになった由来と言われています。
1958年創業の『芙蓉餐庁』は、この芙蓉を店名にした伝統四川料理の名店です。開業当初は、成都付近の有名料理店「静寧飯店」「栄楽園」「努力餐」などの名厨師たちが集められ、腕をふるったとも言われています。厨師の層が厚く、調理技術も抜群に精巧で、四川料理の伝統の継承と発展に貢献した、成都を代表とする料理店です。このレストランが生み出した料理にもまた、芙蓉の名が多くつけられています。
伝統四川料理を今に伝える成都・松雲門派の正統な継承者であるシェフ井桁良樹が日本人が知らない本当の四川料理を提供します。この記事を見て飄香に興味を持った方は、以下のコンテンツでより詳しく私たちについてご覧いただけます。